その3 ハウスの大きさ

前のページでは犬のハウスの種類についてお話ししてきましたが、ここでは用意すべきハウスのサイズについてのお話しです。

「犬種が○○○なんですけど、ハウスはどれくらいの広さが良いのでしょうか?」

よくこんなご相談をよく頂きますが、初めてワンちゃんを飼う方は迷ってしまいますよね…。

まず、ハウスのサイズを決める際にみなさんに知っておいて欲しいのはズバリ次の2点。

犬は狭い空間にいても苦にならない習性の動物(むしろ大好き!)

犬は広い空間では安心して休めない習性の動物(広いと落ち着かない…)

人間の感覚では「狭いハウスは窮屈そうでかわいそう…」とか「ハウスはなるべく広い方が快適だろう…」と考えてしまいがちですが、この感覚はワンちゃんには通用しません。

むしろそれとはまったく逆で、私たち人間が「これではちょっと狭いんじゃないの…?」と感じるくらいが理想的。

 

これらは犬特有の感覚によるもので、ワンちゃんを長時間留守番させる時もなるべく狭いハウスで過ごさせた方がより落ち着いた状態で過ごせるのです。

その“狭さ”の具体的な目安としては、“ハウスの中で辛うじて身体の向きを変えられる程度”のスペース。

「えっ!?本当にそんな狭い場所で過ごさせて大丈夫なの…?」という声も聞こえてきそうですが、まったく問題ありません。

犬はもともと穴を掘って巣を造る穴倉動物だったので、ペットとして飼われている現代のワンちゃんたちも周りを覆われた狭い場所を好んで休もうとする習性があります。

実際、ペットホテル、動物病院、訓練所といった犬のプロたちが使っているハウスも狭くて余分なスペースがないものがほとんど

これは限られた空間により多くのハウスを設置するという目的もあるでしょうが、それ以上に飼い主さんと離れて普段とは違う場所で過ごさなければならない不安な犬たちが少しでも安心して過ごせるように配慮していくと、結果的に“狭いハウス”にたどり着くのです。

もちろんこの目安を子犬の身体を基準に考えてしまうと、あっという間に成長してそのハウスは使えなくなってしまいますので、あくまでも成犬時の身体のサイズを基準に考えましょう。

「でも成犬時のサイズを基準に選んだハウスだと、子犬にとっては広過ぎるんじゃないの…?」と感じる方もいらっしゃることでしょう。

でも大丈夫です。

好奇心旺盛な子犬はまだ成犬ほど神経質ではありませんので、まずはこれから使っていくハウスに慣れさせることを優先し、生後半年を迎える頃には成犬時の体格にかなり近付いてきます。

また、子犬の時期は睡眠はもちろん、排泄、食事など1日の生活のほぼすべてをハウスの中でさせるのがしつけの基本なので、スペースに多少余裕があった方が便利なんです。

ですので、これから愛犬のハウスを用意するみなさんはこの基準を参考に選んであげるようにしてくださいね。


よく「大は小を兼ねる」と言いますので、愛犬のハウスもより広いものを選ぶべきと考える方もいらっしゃることでしょう。

確かに広いハウスだと便利なこともあります。

例えば子犬は排泄回数が多いので、ハウスには寝床スペース以外に排泄スペースもあった方が便利です。

しかしながら、成犬になるとその排泄回数は減り、食事の後やハウスから出してもらった時など生活のリズムを覚えて自分でコントロールしながら排泄出来る身体になっていくのです。(穴倉動物ならではの身体的な特性で、人間が排泄を我慢するのが辛い状況とは異なります)

そうなってくると成犬時のハウスは基本的に休む(寝る)だけの場所となるので、広いスペースは要らなくなります。

もちろん成犬でも長時間留守番している時やお腹の調子が悪い時などはハウスの中で排泄することもありますので、もしスペースに余裕のあるハウスを用意するとしても最低限の排泄場所を確保出来ていればじゅうぶん

ちなみに『大きめサイズ』と『小さめサイズ』のメリット・デメリットを挙げますと…

  大きめサイズ 小さめサイズ
メリット
トイレスペースと寝床スペースを離すことが出来る
余裕を持ってケージ内のスペースを活用出来る(あくまでも飼い主さん目線での利便性)
狭いスペースで過ごすことにより安心感が増すため、落ち着きのある性格に成長することが多い(犬の習性を活かした飼い方が出来る)
コンパクトで場所をとらない
車に積めば旅行先でも使用出来る
デメリット
× 広いスペースで過ごすことにより警戒感が増すため落ち着きのない性格に成長することが多い(犬の習性を無視した飼い方になってしまう)
× 場所をとる
× 成犬時の用途が寝床のみ(クレートとしての使用)になった場合、広いスペースが無駄になる
× 寝床のみ(クレート的な使用)を想定した場合はトイレスペースを確保出来ない
× 想定していた成犬時のサイズよりも大きめに成長した場合、スペースがもの足りなくなる可能性がある

といった感じになりますので、そこに各ご家庭の生活サイクルや飼育スタイルを加味した上でハウスの種類やサイズを選んでみてください。

飼育スタイルについては、成犬時にハウスをどのように使いたいかをポイントとして考えてみると良いでしょう。


成犬時の飼い方を大きく分けると次のいずれかに該当するはずです。

基本的にはケージ飼い(サークル、屋外犬舎も含む)

常時お部屋の中で放し飼い

ご家庭によっては『普段は放し飼いで、留守中のみケージ飼い』といった状況に応じてケージを使用するパターンを考えていらっしゃるケースもあるかもしれませんが、『将来的には常時放し飼い』をお考えの飼い主さんが結構多いのではないでしょうか?

もちろん子犬を迎えていきなり放し飼いからスタートするのはしつけの面でデメリットが大き過ぎるので絶対におすすめ出来ません。

ただ、成犬になった時点でしつけがしっかり出来ていて、尚且つご家庭内のルール(お部屋の中でイタズラをしないなど)を理解出来ていればお留守番中も含めて常に放し飼い状態にすることもじゅうぶん可能です。(そうするためにはやはり子犬を迎えた当日からケージ飼いすることが大切!)

放し飼いの場合、ハウスはリラックスしたい時や寝る時に入るだけの場所(寝床オンリー)になりますので、それこそハウスに必要以上のスペースは要りません。

それとは違って、来客が多いご家庭やイタズラ・事故防止のために普段もケージ飼いをお考えの飼い主さんであれば、成犬時に寝床として必要なスペースの他にちょっとしたトイレスペースを加えた程度の広さがあると便利です。


子犬を迎えた時点ではまだ将来的にハウスをどう使っていきたいか決められないという飼い主さんも多いかもしれませんので、そういった場合は後者の“成犬時に寝床として必要なスペース+最低限のトイレスペース”を基準に選んでみると良いでしょう。

 

なお、特にこれといった問題行動が見られない(しつけが上手くいった)成犬であれば今までのハウス(飼育環境)をあえて変える必要はないでしょう。

今回解説している内容はあくまでもこれからしつけを始める子犬や問題行動が見られる成犬を前提としたもの。

頭の中が真っさらな子犬やしつけが上手くいかなかった成犬には犬の習性を上手く活かした飼育環境がしつけ全般にプラスの影響を与えてくれますので是非参考にしてみてください。

それでは、次のページではハウス内のレイアウトについて考えてみましょう。

>>> 【その4】 ハウス内のレイアウト

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